2017年11月、弊社サービスPick Boxのアメリカ版である「Stitch Fix」がNASDAQに上場しました。
本日はそのStitch Fix上場の概要に迫りたいと思います。
Stitch Fixって?
2011年にサンフランシスコで27歳の女性が立ち上げたパーソナルスタイリングの企業です。
その内容は弊サービスPick Boxと同じく、アンケートに答えるとスタイリストが好みのアイテムを5品選びお届けし、自宅で試着して気に入ったもののみ購入できるサービスとなっております。(過去記事:Pick Boxの使い方を参照)
特徴的なのは、Stitch Fixでは、①顧客がアンケートで入力したデータ、と、②郵送して返ってきたフィードバックデータをAIに学習させ、スタイリストがより正確なスタイリングをできるようにサポートしていることです。
このAIの開発のために、ファッション企業ながら約60名ものデータサイエンティストが在籍しております。
上場申請書から分析する上場の裏側
粗利率から見る分析
※粗利率とは
売上高から経費を引いたものを粗利益と言い、売上高における粗利益の割合を粗利率と言います。
粗利率が高いということは、製品自体の原価が低く、顧客は無形のサービスに対してお金を払っているということになります。
つまり、粗利率が高いほど、サービスが良く洗練され機能している、ということを意味します。
【図1】
(https://hackernoon.com/創業6年で売上1-000億円を突破-aiがスタイリストの服のチョイスを支援する-stitch-fix-sfix-の分析-2f3d03f5a49aより引用)
上図を見てわかる通り、売上高も利益率も2014年からの4年間で劇的に増えています。Stitch FixがAIを導入したのは2012年ですが、以降、徐々にデータや開発技術が高まり、AIと人の手を掛け合わせたスタイリングサービスがより最適化されて行ったことがこの図から読み取れます。
加えてStitch Fixは2014年に2500万ドルの資金調達をして以来2017年まで一度も追加の資金調達をせずに、この売上高と粗利率を上げており、ビジネスとしてうまく回せていることが分かります。
経営者の持ち株比率から見る考察
【図2】
(https://medium.com/@kanakohonda/パーソナルスタイリストサービス-stitch-fix-がいよいよnasdaq上場へ-9ef35133d247より引用)
上の図を見てもらうとわかる通りCEOであるKatrinaが17%しか株式を保有しておりません。これはアパレル領域という領域の性質が、初期の資金調達を難航させていたことを意味します。
アパレル用品、つまり服というのは、原価が高く、また、大量生産されているため、よほどブランド力のあるもの以外は売りさばけず在庫となって安売りされてしまうのが関の山となっております。したがって、在庫のリスクがなく、値下げせず確実にたくさん売りさばくことのできるビジネスモデルでない限り、資金調達が難しかったものと考えられます。
そのような中、時価総額3000〜4000億円ほどの規模で上場させたのはお見事と言えるでしょう。
まとめ
薄利多売で収益の立てにくかったアパレル領域を、AI研究にしっかりと投資し、AI×スタイリングという付加価値で開拓して行きました。
既存の領域に対して、自分達の意見を持ち、新しい文化を作る。そんなStitch Fixのようなサービスがこれから先の世の中を変えていくことでしょう。
参照ページ
https://hackernoon.com/創業6年で売上1-000億円を突破-aiがスタイリストの服のチョイスを支援する-stitch-fix-sfix-の分析-2f3d03f5a49a
https://forbesjapan.com/articles/detail/19039
https://www.oricon.co.jp/article/345285/
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