シェアリングエコノミー協会の住宅宿泊事業関連条例に関する意見書を読んでみた

住宅宿泊事業法

住宅宿泊事業法(環境省HPより)とは、Airbnbなどの個人の住居を他人で有料でシェアするサービスに関する規則を定めた法律で、昨年10月に制定され、本年6月15日より施行予定です。

その法律が施行されるにあたり、現在、各自治体が条例を制定しているところですが、その条例の考え方について、日本シェアリングエコノミー協会が意見書を提出したので、今回はそれを読んでみました。

日本シェアリング協会の意見書

住宅宿泊事業関連条例に関する意見書(PDF):http://sharing-economy.jp/ja/wp-content/uploads/sites/2/2018/01/opinion_180129.pdf

意見の趣旨(※意見書より抜粋)

1.住居専用地域全域を対象とした⼀律の制限を課すべきではありません 。

2.都道府県や保健所を設置する市・特別区全域を対象とした⼀律の制限は、住宅宿泊事業法の目的に逸脱し、違法・無効な制限であることは明らかです。

3.曜⽇による制限(例:⽉曜⽇午後から金曜⽇午前は民泊禁止 等)も、制限が必 要な理由を具体的事実関係に基づいて検討した上で行わない限り、違法・無効な条例となるおそれがあります 。

なぜ日本シェアリングエコノミー協会はこの意見書を発表したのか

まず、日本シェアリングエコノミー協会は上記意見書の中で

「ホームシェアリング は、個人のプライベートな生活領域での資産や活動を他者と分かち合うことにより金銭的価値以上の豊かな経験を双方が得るというシェアの本質をなす活動です。 」

と述べており、シェアリングエコノミーは単なるお金を稼ぐための経済活動であるのみならず、他の人と生活空間を共有する豊かな経験であるとして、その文化の普及の促進を願う立場を取っています。

ですので、「やたらむやみに民泊事業に制限をかけてほしくない」というのが大きな意図であります。

条例による住宅宿泊事業の実施の制限については、住宅宿泊事業法第18条に書かれています。

第十八条 都道府県(第六十八条第一項の規定により同項に規定する住宅宿泊事業等関係行政事務を処理する保健所設置市等の区域にあっては、当該保健所設置市等)は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる。

 これは裏を返せば、騒音問題による生活環境の悪化の被害がさほど大きくないのに、必要以上に民泊業を制限してはいけない、と解釈されます。

さらに、生活に悪影響を及す騒音被害を防ぐために、住宅宿泊事業法では、住宅宿泊事業を行えるのは年間180日であるという制限をかけています。つまり、この制限の中でなら住宅宿泊事業は許容されるべきであると考えるのが通常の解釈と言えます。

これを踏まえ、日本シェアリングエコノミー協会は、上記1.2.3.の意見を述べています。

1.については、住宅宿泊事業法では、居住専用地域であろうとなかろうと、届出さえすれば民泊事業を年間180日以内で行えることとなっており、180日以内という居住地域に配慮した制限を設けている以上、よほど騒音被害が大きいなどの決定的な理由がない限りやたらむやみに条例で制限すべきではないことを述べています。

2.については、騒音などによる被害が大きいことによって制限される区間は、「区域」として厳密に定められるべきであり、都道府県・市・特別区全域といった関係のない範囲まで含めた地域で大雑把に制限されるべきではないことを述べています。

3.について、住宅宿泊関連事業法を制定した目的の1つに「国内外からの観光客の来訪及び滞在を促進する」ということがあります。つまり、やたらむやみに曜日や時間を条例で制限すると、旅行客が利用しづらくなりこの目的に反することになります。また、第18条で、民泊を制限できるのは騒音などで生活に致命的な悪影響が出る場合とされているので、特に理由もなく民泊を行える曜日や時間を制限すべきではないことを述べています。

まとめ

日本シェアリングエコノミー協会が主張しているように、民泊による居住地域のシェアには、単なる金銭関係のみならず、人の生活の一部を共有することで、人とつながる意味もあります。この意見書が、そんなシェアリングエコノミーが普及するきっかけになることを願います。

参照

http://sharing-economy.jp/ja/wp-content/uploads/sites/2/2018/01/opinion_180129.pdf

“住宅宿泊事業関連条例”に関するシェアリングエコノミー協会意見書の公表について

http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/juutaku-shukuhaku.html

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WRITERこの記事をかいた人

有吉 洋平

株式会社SENSATION代表取締役。 大学卒業後、欧州系戦略コンサルティングファームの株式会社ローランド・ベルガーに入社。戦略立案からオペレーション改善まで、幅広いコンサルティング業務に従事。2015年、「本to美女」や様々なWEBサービスを運営する株式会社SENSATIONを創業、代表取締役に就任。